展示室解説より

ごあいさつ

 小さいながらも医学部分館に展示室が完成しました。これを記念して特別展示会を行うことが図書委員会で計画され、第1回の企画として「ノーベル医学・生理学賞に見る現代西洋医学の系譜」と題して特別展を行うことになりました。

 展示してある書籍などは、松木が医学概論(医学史)のため30年かけて収集したもので、evidence-based lectureを行うためであります。現在、日本国内ではこのような資料をまとめて閲覧することは不可能であります。

 この展示会は単なる「温故」のためでなく、「知新」のためであり、「創新」のためであります。とくに若い研究者、学生諸君がこのことを理解し、輝ける本学部のため思いを新たにしてくれることを望んでおります。

                   2000年6月19日      

                               医学部分館長 工藤 一

                               医学部図書委員会

「巨人の肩」

 アイザック・ニュートンは宿敵ロバート・フックに宛てた手紙の中で、「巨人の肩」という言葉を使っております。ニュートンが「より遠くを眺める」ことが出来た、つまり 「万有引力」を発見出来たのは「巨人の肩」に乗った、即ち先達の業績に負うところが大きかったというのです。

 展示ケースに示したクリックやワトソンらの業績も突然生れたのではありません。1871年のヨハン・ミーシャーの物質としてのDNAの発見、1928年のフレデリック・グリフィスのR型、S型肺炎双球菌の研究、1944年のオスワルド・エヴリィのDNA分解酵素による研究などが基礎になっております。クリックやワトソンらはこれらの研究の重要性を理解してDNAの二重ラセンモデル発見をしました。

 このように、大なり小なり、何かの発見をするためには、先達の研究を十分に理解することが大切です。先達の研究は、すべて既になされたものですから”過去”のことであり、この意味で”過去”のことをしっかり理解することが、すべての研究、つまり”知新”と”創新”への第一歩であると考えられます。